女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「俺は、ハルが外で働いていると、心配だから。手元に置きたくて、直樹にうちの事務員にハルはどうかって、相談した」

 この提案に、遥は喜ぶどころか、首を横に振った。

「これ以上、迷惑をかけるわけには」

「迷惑とは思わないが、俺の世界だけに閉じ込めておくのは、いかがなものかと思ってな。直樹とも、その辺りを話した。ハルは、もし事務所で働いてほしいと言ったら?」

「それは」

 電話で、貴美子に釘を刺した。
 だからといって即安心、という簡単な相手ではないのは、身を持って知っている。

 現に今、二人の仲をこうして揺らがされ、しなくてもいい嫉妬もさせられた。

 目の届く場所に、遥を置いておきたい気持ちはある。

 そう思いつつも、遥の気持ちを最優先するより他ない。
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