女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「悩ませるつもりで、話したわけじゃない。今の職場で正社員になるのなら、時間が長いとかだろ? 家事はもっと分担すればいい」

 晶のありがたい申し出に、遥はおずおずと付け加えた。

「正社員を勧められたのは、社員寮があるからと」

 頭を、鈍器で殴られたような気がした。
 そこまでして、俺から離れたいのかと。

 けれど今のこの状況は、それとは真逆だ。

「自立、したいから、揺れたのか」

 遥の話を総合して質問すると、遥は頷いた。

「対等じゃないって言われて。胸を張って対等です! とは、言えなくて」

「俺、こんなにハルに、寄りかかってるのにな」

 本音をこぼすと、遥は首を横に振る。

「俺、ハルいないの無理だけど」

 思わず出た弱音に、ますます遥は首を振る。
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