女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「だって、だって。私との関係を『保護者代わり』って」

「それが、気に障った?」

「気に、障ったというか。『恋人』だって、紹介されないんだって、なんだか悲しくて」

 遥から口にされる『恋人』という単語に、落ち着かない気持ちになる。

「恋人で、よかったか」

「恋人が、よかったです」

「自覚あるのな。恋人って」

「え」

「たまに。俺だけハルを女として見てて、ハルは俺を、亡くなったばあさんの代わりとして見てるんじゃないかって、本気で思う時がある」

 悲しくなるような声色に、晶にギュッと腕を回す。

「大好きですよ。どうして? アキの代わりなんていない」

 真っ直ぐに伝えられる気持ちに、照れ臭くて「くすぐったいな」と笑う。

「ちゃんと聞いてます? アキ」

「ああ。聞いてる」

 遥を強く抱きしめると「く、苦しいです」と訴えられ、また笑った。
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