女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「それは?」

「なにを考えているんだって、突き返してくれて構わない」

 固い声で、封筒を渡された。
 首を傾げながら、中身を確認して目を丸くする。

「これ」

 驚いて晶を見つめると、晶は理由を話し始めた。

「昨日、「私たちの関係の先には、なにがあるんでしょう」って言われて、考えた結果だ」

「考えた、結果だなんて」

 封筒の中には、記入済みの婚姻届。
 もちろん記入してあるのは、晶の部分だけ。

「なにに悩んでいるのか、ああ、まだそれについての全容は聞いてないな。まあ、でも、手を出されたくないのは、伝わった」

「それは、その。でも、そうだとしたら、余計に、これは」

 封筒を持ち上げ、晶の飛躍しているとしか思えない考え方に疑問を投げかける。

「どうして、こうなるのか。わからないです。アキは結婚したくないのだと、ばかり」

「ああ、別に結婚したいわけじゃない」

 言葉にされるとショックで、声が弱まっていく。
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