女嫌いと男性恐怖症：付き合いの手順

「だったら。どうして」

「ハルと同じところに、引っかかったというか」

「同じ、ところ？」

「ああ。自分たちの関係を人に話す時に、『保護者代わり』も『恋人』も、ハルを守るには不十分だ。現に、作業長に足元を見られた」

「そのために？」

「そのためというか。『私たちの関係の先』に、これ以外ないというか、な」

　晶に結婚願望は、皆無のはずだ。
　夢も希望も持っていないと言っていた。

　遥だって、自分の育ってきた環境を顧みて、結婚に向いているとは思えない。

　けれど、晶は自分の考えを言い連ねた。

「例え、ハルと体の関係になれなかったとして。だからと言って、離れるという選択肢はない。俺は、な」

　なにも言えずにいると、晶は続けた。

「そしたら、法的にも守られている結婚をするのは、別に悪くないと思えた。ただ、それだけだ」

「そんな、あっさり」

「他に理由がいるか？　結婚してるというだけで、ハルに不貞行為を働こうとした男を法的に裁ける」

　実際には不貞行為があった場合に、だが、それでも『恋人』より『夫』の方が確実に遥を守れる。