女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「作業長との件、あんまり気にされていないのだと思って」

「馬鹿。嫉妬に狂いそうだった」

 あの日、なんでもない顔で、手を包んでくれた。
 撫でて、甘やかすような声をかけて。

 その行動の裏で、嫉妬していたなんて。

「恋人だという不安定な関係よりも、胸を張って「俺の女だ」って言いたい、醜い独占欲でまみれてる」

 やけくそで言い放つ晶に、遥は笑う。

「アキが「俺の女」って似合わないです」

「うるさい。もう寝よう。色々と喋り過ぎた」

「あの、これ。こんな大事なもの、持ったまま眠れません」

「ああ、とりあえず机に置いておこうか」

 封筒を受け取り、机に置いてやる。
 箱と並べるのは違う気がして、白い箱は机の引き出しにしまった。

 それから遥に背を向けて転がると、遥は小さな声で訴えた。

「キスは、しないんですか」

 可愛い質問に、体が熱くなる。

「俺に怯えてたんじゃないのか」
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