女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「アキには、怯えないです。この先、大人の関係を克服したアキが、離れていかないかなって、変な想像をしてしまって」

 心許ない声を聞き、体を遥の方へ向ける。

「どうして、そうなるんだよ」

 咎めるように言い、唇を重ねた。

「んっ。アキ」

「可愛い」

 目を細めると、照れる遥が視線を逸らす。

「トラウマを克服したら、誰とでもお付き合い出来るのではって。そしたら、もっとアキにはお似合いの方が」

「俺たちは堂々巡りだな。俺も、たまに想像して嫉妬する。年齢が近くて、作業長みたいな奴がって」

「やめてください。私にだって選ぶ権利ってものが」

 あからさまな態度に、作業長を不憫にさえ思って笑う。

「酷い言われようだな」
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