女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
達哉が事務所に通うようになり、数日が経つと、達哉もずいぶんと仕事に慣れてきた。
仕事を覚えるために今はほとんど直樹専属になっているが、雑用を進んでやってくれるだけでもありがたかった。
達哉のお陰もあり、早く帰れる日が増えた。
今日も仕事の切りが付き、そろそろ帰ろうかと準備していると、事務所の扉が開き、人の気配を感じた。
「こんにちは」
挨拶の声が聞こえ、入り口近くに座っている、達哉が応対しているようだ。
「こんにちは。法律相談ですか?」
「いえ」
聞き覚えのある声に、その人を見ると、まさかの人物。
「え、ハル?」
晶を見つけ安堵する遥が、達哉に会釈して、歩み寄ってくる。
「遥ちゃん、よく来たね。俺が呼んだんだ」
直樹は楽しそうに言って「達哉、お茶入れて」と、達哉に指示を出し、応接セットに座った。