女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「今日は外で食べよう」

「えっと、はい」

「その前に、寄るか」

「え、どこに」

「いいから」

 連れられるまま店に入ると、そこは洋服店。
 レディースもメンズもある店で、高級感が漂っている。

 晶は迷いなく店員に話しかけた。

「女性の服装はよくわからなくて。彼女に似合う服を選んでほしい」

「はい。どういった雰囲気にいたしましょう」

「そうだな。大人っぽく、なおかつ可愛らしい感じで」

 勝手に話が進められ、遥は戸惑って晶の袖を引っ張る。

「あの、どうして服」

「いいから」

 小声で話していると、戻ってきた店員はワンピースを手にしていた。

「こちらはどうでしょう」

「着てみるか?」

 優しく微笑む晶に、どんな顔をすればいいのかわからずに、コクリと頷いた。
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