女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「彼女にあの感じで、他にも2、3着お願いしたい」

「あ、あの。アキ」

「服、グレーで、お揃いだな」

 晶らしからぬ浮つきそうな発言に、遥は目眩がしそうになる。

「これは着ていくので」と、ほかにも買った服と一緒に、着ていた服は袋に入れてもらった。

 極め付けは「外は寒いだろ」と、コートを羽織らされた。

 これも買ったのだろう。
 大人っぽいオフホワイトのコート。

 店を出ると堪らなくなって、晶に質問をする。

「どうして、服」

「前に買おうって、言っていただろ」

 それは、晶がスーツしか持っていなくて、晶の私服を買おうと話していただけで、遥の服ではない。
 そもそも、晶は女らしい格好は嫌いなはずで。

 服どころか、低めとはいえブーツまで先ほどの店で揃え、すっかり外側は変身させられた。

 ただ、ブーツの下に履いている靴下は縞柄。
 もちろん、顔はスッピンだ。

 腑に落ちない気持ちは拭えないまま、晶に手を引かれた。
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