女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 晶が美容院に迎えにいくと、化粧をして、髪まで整えられた遥が仏頂面で待っていた。

 美容師が、遥の変身ぶりに嬉しそうに報告する。

「どうですか、彼女さん。とても可愛らしいですよね」

「ああ。綺麗です。ありがとう」

 美容院を出て少し歩いた先で、遥に肘を出しても遥は顔を背けて、頬をむくれさせたまま。

「悪い。説明した方がよかったか」

「はい。説明してほしいです」

「デートしたくて」

「……デート」

「ああ。腕を組むのは嫌?」

「だって、化粧臭いって言われちゃいます」

 頑なに手を出さず、近づこうともしない遥に晶は一歩近づいて距離を詰める。

「においが気にならない化粧品にしてもらった」

 言われてみれば、控えめかもしれない。

「でも、格好が」

「ヒラヒラしているものは苦手だが、シックな感じなら、好きかも」

「え」

 遥は腰に腕を回され、体を揺らす。
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