女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
目を覚ますと、美しい顔が規則正しい寝息を立てていた。
寝顔を見つめるのは数えるほどしかないような気がして、ここぞとばかりに見つめる。
体には甘い怠さを感じ、めくるめく夜を過ごしたのだという実感が湧いてくる。
この目の前の美しい人と。
昨晩の色気ある晶の眼差しを思い出し、全身が熱くなる。
初めての感覚ばかりで戸惑い、恥ずかしくて怖くて。
それなのに嫌じゃなかった。
男の人に女として見られるのが怖かった。
そういう対象に見れるのは、自分が穢らわしく思えた。
今はーー。
見つめているだけで涙がこぼれそうになり、頬に手を伸ばす。
「あき、ら」
頬に手が触れると、ゆっくりとまぶたが開いた。
「どうした。目が覚めたら、怖くなってきたか?」
手を握られると、細くて女性的だとばかり思っていた晶の力強い腕に引き寄せられ、すっぽりと体を包まれる。
頬を伝う涙を慌てて拭って、首を振った。