女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
家族
次に目が覚めた時には、遮光カーテンから明るい日差しが漏れていた。
「寝過ごしたな」
そう言いつつも、ベッドを抜け出せずにいるのは、体に残る怠さのせいだけではない。
人の肌のぬくもりが、こんなにも心地いいとは知らなかった。
今までもベッドを共にしていたし、お互いのぬくもりを感じながら眠っていたけれど。
隣に眠る遥は、今もなおぬくもりを求め、擦り寄ってくる。
遥の行動はいつも通りだとしても、今は互いになにも身につけていない。
直接の肌を触れ合いは安らぎをもたらし、また相反する落ち着かない気持ちも連れてくる。
「いい加減、起きろよ。遅くなる」
目を半分も開けていない遥は、眠そうに目をこすりながら「アキ。まだ寝てましょう。お布団の外は寒くて」とますます体を擦り寄せる。
そんな遥に悪戯を仕掛けると「ひゃん」とどこから出したのかわからない声を聞いた。
「弱いよな。耳」
耳から首すじに指を滑らせると慌てた遥は体をよじらせ、ますますこちらにくっついてくる。
不埒な考えは簡単に顔を出し、なにもかもを投げ出して、このままずっとベッドで遥と甘い時間を過ごしてしまいたくなる。