女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 そこへ来て遥がぼそりとつぶやいた。

「アキは嫌にならなかったんですか。その、トラウマの学生時代に見た映像が、とか」

 質問され、おかしくなって笑う。

「変な発言しましたか」

 笑われたのがお気に召さなかったらしい。
 遥はムスッとした声を上げた。

「いや。言われるまで忘れてた。お前しか見えてなかった」

 ストレートな発言に顔が熱くなる。

「遥」

「な、なんですか」

「いや。呼んでみただけだ」

 愛おしそうに呼ばないでほしい。

 自分の顔が美しくて、声は色気を意識的に含まなくても低音の罪深い声質で。
 その声に色気を込められたら、もう。

「起きたくなくなるな」

 気怠げに言う晶に首を傾げる。

「どこかに出掛ける予定でしたか?」

「いや、まあ」

 言葉を濁す晶はとんでもない内容を口にする。
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