女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「それならシャワー浴びてくる。いや、遥が先に浴びてこい。なんなら一緒に行くか?」

 含みを持たせた言い方に、全身が熱くなる。

「い、行ってきます!」

「ああ」

 顔を背けていてくれる晶の配慮に感謝しつつ、自分の現状を省みて再び全身が熱くなった。
 なんとか服や下着をかき集め、浴室へ向かった。

 シャワーを済ませ、朝食を取る。
 いつも通りの日常が戻るはずが、晶の目を見れない。

「遥」

「な、なんでしょう」

「出掛けないのなら、今日一日をベッドで過ごさないか」

「は」

 信じられない思いが口をついて出て、目を剥いた。

 返事をする前に、いつの間にか近くにいた晶に手を引かれる。

「どうやら俺は遥に溺れてしまったらしい」

 危うい言葉を放つ晶は、迷いなく寝室を目指す。

「溺れるのは嫌だって、前に」

 戸惑いがちに言葉を漏らすと、晶はぼやくように言う。

「ああ。それが今は嫌じゃないから困ってる」

 寝室に入り抱き竦められ、唇が重なった。
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