女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「どうした。そんなに引っ付くと歩きづらいだろ」
「だってアキ、一人で歩いて行っちゃうから」
ぼんやりし過ぎていたらしい。
甘えているような遥を、いじらしく思いつつも悪態をつく。
「コンパスの違うせいだな。いい加減、背は伸びないのか」
「伸びるものなら、伸ばしたいに決まってます!」
なら離れて歩けばいい。
そこまでの天邪鬼を出すほど、今は捻くれていない自分に少しだけ笑う。
「明日、どこか行きたい場所があるのか?」
明日は木曜日。
珍しく平日に休めないかと、わがままを言った遥の願いを聞き入れる形で休みを取った。
「明日はおばあちゃんのお誕生日で」
「そうか。墓前に挨拶に行かないとな」
回している腕にギュッと力が入り「ありがとうございます」とお礼が聞こえた。
「礼を言われるほどじゃない」
空いている手の方で頭をかき回しても、珍しく撫でられるがまま、遥は文句も言わず大人しくしている。