女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「そうだな。守りたいと思うくらいには、お前を大事に思ってるよ」

 見つめている遥の額に自分の額を擦り付け、それからそっと唇に触れる。

「ばあさんに結婚の報告、してもいいってこと、だよな?」

 恥ずかしそうに照れている遥が小さく頷いた。

「おばあちゃん、許してくれるでしょうか」

「なんだ。厳しいばあさんだったのか」

「いえ。きっと、アキを見たら驚いて「おばあちゃんがお相手願いたいくらいだね」って言いますよ。イケメン好きだったので」

 嬉しそうに話す遥の言葉がくすぐったい。
 無自覚に褒めているとは気づいていないらしい。

「俺を選んでるって辺り、そこはばあさんに似たのか」

 目を丸くした遥は口を尖らせて文句を言う。

「自分で自分はイケメンだって言うんですか。間違っていないだけに嫌味でしかないです」

「褒めてもなにも出ないぞ」

「褒めてはいません!」

 戯れ合いながらリビングまでいくと、遥は改まった声を出した。

「アキが家族って呼びたい人間に、私はなれますか?」

 フッと息を吐くように笑みをこぼし「ああ。もちろん」と、抱き寄せた。


Fin.
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