女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「アキが、前に話してくれました。私たちは、似た者同士だと。私は男性恐怖症で、アキは女嫌いで。お互いがダメなものなのに、大丈夫っていう変な間柄だって」
確かにそうだ。
最初は遥が女に見えないからだと思っていたが、どうもそうではないらしい。
どうして、大丈夫なのか。
答えはわからないが、特別らしいというのだけはわかっている。
だからって、俺は。
どうにもやられたメンタルは、言葉を選ぶ余裕もなく、ストレートに懸念を投げつけた。
「一緒に寝たら、手を出しそうだって言ってんだよ」
馬鹿みたいだ。
直接的な言葉を避け、悟られないように、自分の中にある受け入れ難い気持ちを誤魔化してきたのに。
「私はそれでもいいです」
胸がドクンと波打って、苦しくなった。
ハルに手を出したら、俺は快楽に溺れて、あの嫌悪感しかなかった映像の男女のような状態になるのか。
胃からなにかが迫り上がってくる感じがして、慌てて遥を突き飛ばした。
涙目になり背中を丸めた不格好な体に、遥は手を添えた。
「そうなったら困るのは、アキみたいに見えます」
優しい声色に、ギュッと胸を掴まれた感じがした。