女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
遥に手を引かれ、ベッドの端に座る。
もはや、なにに悩んでいたのか、わからなくなっていた。
「あの、今までは平気そうだったのに、どうして、急に」
「それは」
遥に似ている人物が、売春していたと聞いて動揺した。
だなんて、どう遥に伝えればいいのか、表現に苦しむ。
すると遥が質問を変えた。
「どうして、忘れていられたんでしょう」
そう言われ、当時の記憶が蘇る。
気分の悪くなった晶を、外に連れ出したのは直樹で、大勢の前で吐かずに済んだのは、直樹のお陰だった。
そして、直樹に言われた言葉まで思い出す。
「ああいう映像は、商業用で盛ってるから。本当にああだと思って女の子と付き合うと、痛い目に遭う」
「俺には、必要のない知識だな」
「ハハ。そうか? 俺はアキに、直樹もあんなんなのかって、穢らわしいものを見るような目で見られて避けられたりしたら、さすがに落ち込むわ」
当時を思い出して、失笑が漏れる。
直樹はいつでも、変わらないな。
「良かったです。普段のアキに戻ったみたい」
「ああ、まあ」
直樹の発言に翻弄されているようで、不服に思いつつも、なんだかおかしかった。