女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「アキがお母さんに仕返しをしたいのなら、女遊びする方が、ずっとお母さんは嫌だったでしょうね」
「なんだ。ハルは親に仕返ししたいのか」
珍しく、眉間にしわを寄せて話すハルの頭を撫でる。
「あ、いえ。その」
つらそうな顔をする遥を、胸元に引き寄せた。
闇を抱えているのは、晶も遥も同じだった。
「わからないではないな。ただ、俺の女への嫌悪感は、父親の愛人へのものでもあるから」
晶は自分の中で咀嚼して、飲み込むように「そうか。そうだな」と、つぶやいた。
「俺はどうあがいても、女に溺れるのは無理だ」
女自体に嫌悪感のある自分が、女に溺れるわけがなかった。
こんな簡単な結論に達するのに、遥の気付きが必要だなんて。
どうしてこう、いつもこいつに助けられるのか。
「俺が溺れるとしたら、女にじゃない。ハルに、だ」