女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 遥だって、晶が自分に配慮して怖がらせないように接してくれているのは、わかっていた。
 だからって、今まで以上に距離を感じるのを寂しいと思うのは、身勝手だろうか。

 自分の中に、よもやあると思わなかった恋心。
 彼の傍を片時も離れたくないと思う自分は、間違ってはいないはずだ。

 大きな手が伸び、遥の頭をグリグリと撫でる。

「今日は平日だろ。明日も仕事だ。前みたいに、オーバーフローしたお前の面倒をみるのはごめんだ」

 乱暴であるものの、この温もりに癒されていたはずなのに、今は不満に思う。

「側に、いてくれるだけでいいのに」

 健気な声が、晶の胸を締め付ける。

「擦り寄ってくるくせに」

「嫌なんですか」

「嫌じゃないから、困るんだろうが」

 顔を上げようとしても、頑なに晶の手は遥の頭を押さえつけた。

「今、見上げたら、頭カチ割ってやるからな」
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