女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「く、苦しいです。アキ」
遥の訴えに僅かに力を緩め、心の声を漏らす。
「この前は、もっと怯えてた」
か細い声は情けなく、遥に拾い上げられた。
「それは、その、急で、驚いて。でも、蕁麻疹が出なかったから、やっぱりアキなんだなあって」
「どんな感想だよ」
いい。
今はそれだけで十分だ。
「寝ましょう。明日は久しぶりに、アキのご飯が食べたいです」
「ああ、ハンバーグにしよう」
「半熟目玉焼き、のせましょう!」
「チーズもな」
「やった!」
甘い雰囲気には、程遠い会話。
けれど、今はそれが心地良かった。