女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
二人での過ごし方
トタトタトタ、と歩く音と、扉が数度開いて閉まる音を聞いてから、リビングに遥が顔を出した。
晶を探し回っていたのがわかったが、敢えて素知らぬ顔をする。
「おはようございます」
「ああ。おはよ」
どことなく不服そうな遥に、平然と言ってみせた。
「今回はちゃんと、朝まで同じベッドで寝たぞ」
心の中を言い当てられた、気まずい顔をするのかと思いきや、遥は平気で爆弾を落とす。
「ベッドの中で、おはようのキスとか」
「しない。断じてしない」
目が覚めた時に見た遥のドアップに、心臓が縮み上がった事実を、知らないから言えるんだ。
「飯にしよう。ブランチと言えるくらい遅い」
レタスや刻んだ人参など、野菜をたっぷり挟んだサンドイッチを出すと「わあ」と嬉しそうな声が上がった。
スープも置くと「どれもこれも野菜がたくさんですね」と、遥は頬を緩めた。
「ああ。以前から、休日はしっかり野菜を取るように心がけている。まあ、前は外で済ます方が多かったが」