女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「なにを、すれば」

「さあな。思いつきで提案してみたところもある。ただ、言っておかなければ、逃げ出すに決まってる」

「私が、ですか?」

「いや、俺が」

 しばらく黙っていた遥が、おもむろに口を開いた。

「母は看護師で、父は医師で、忙しくて」

 初めて語られる遥の両親の話に、今までの遥の言動が一致する。
 病院に行きたがらなかったのも、そのせいかと合点がいった。

「それで、近所のお兄ちゃんとあんな」

 呼吸が荒くなってきたのを感じ、勢いよく椅子を引いて立ち上がり、遥の元へと急いだ。

 久しぶりに出た遥の過呼吸に、こんな荒療治を提案した自分の甘さを猛省した。
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