女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「アキはどうして平気なのか。やっぱりアキが美しいからでしょうか」

 意味を理解するまでに時間がかかり、遥が顔を上げて、晶を見つめた。

「怒りました?」

「なにに」

「美しいって言って」

「いや、ああ、そうだな」

 晶は自嘲気味に言った。

「俺が男に見えなかったお陰だったのなら、俺はクソババアに感謝しないといけないな」

「美しく産んでくれて、ありがとう?」

「おい。いい加減にしろよ。俺に女を形容する言葉をかけるなと、あれほど」

 からかい半分に頭をグリグリさせると、「あはは。ごめんなさい」と、楽しそうな声がした。

 遥からの『美しい』くらいは許容しようと譲歩していたから、本気で怒っているわけじゃない。
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