女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
結局は押し切られ、晶の部屋の狭いシングルに並ぶ。
「冷たッ。お前、足が氷だろ」
反射的に離した遥の脚は、晶の長い脚に捕まって挟まれる。
「アキは湯たんぽみたいに、温かいですね」
「湯たんぽって」
「おばあちゃんと一緒に寝ていた時は、冬になるといつもお湯を沸かして。懐かしいです」
古臭い発言は、どれも遥が祖母と過ごした思い出。
「俺は、ばあさんどころか、湯たんぽの代わりか」
晶がぼやいていると、遥は自分の寝心地のいい場所を探し、もぞもぞと動く。
その度に遥から甘い匂いが立ちのぼり、晶は息を詰まらせた。
すぐ近くにある、小さくて柔らかなぬくもり。
落ち着いて眠れるわけもなく、晶は無理矢理に目を閉じた。