女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 自分は男性に対してある程度の免疫がついたとばかり思っていたのに、この有り様だ。

 ゆっくりと体を起き上がらせると、体にかかっていた毛布が外れ、身震いをする。

「急に冷え込んだな。暖房を強めたが、まだ寒いか?」

「いえ。大丈夫です」

「ハンバーグはやめて、もっと体の芯から暖かくなる料理にしようか」

 晶の提案に、遥は「うーん」と考え込んでいる。

 食べたいメニューを聞いて、まともに返事がない経験から勝手に「シチューかなにか」と冷蔵庫の中身を思い浮かべながら呟く。

「シチューいいですね! ベシャメルソースから作ってみたいです!」

 珍しく遥からされたリクエストは、思いの外ハードルの高いもの。

「さすがに、そこから作ろうとは」

「想像よりも簡単だって聞きました」

「それならグラタンを食べたいが、なあ」

 はふはふ言いながら食べるグラタンが思い浮かび、ますます食べたくなった。
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