女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「作りましょう。グラタン」
先にキッチンへ向かう遥を見送り、晶もパソコンを落として後に続いた。
キッチンに並ぶと、お互いに料理は作っていたものの、一緒に作るのは初めてだと気付く。
並んで立つと際立つ、あまりに小さい遥にククッと笑う。
「台が必要じゃないか? 今までその背で、よくやってたな」
遥はむくれると、そっぽを向いて不満を漏らす。
「アキの目は節穴です。しかもそうやってアキが毎度からかうから、一緒に料理ができた試しがありません」
なるほど。それで。
妙な納得をして、余計に笑う。
「そうだな。怒っていると、おいしい料理が作れないんだったな」
本当かどうかわからない説を持ち出して、遥の頭を引き寄せる。
「ひゃ」
驚いた声を聞きながら、頭にキスを落とした。
「どうすれば、機嫌直る?」
「だ、大丈夫です。もう直りました」
「ハハッ。それは残念」
解放しようと覗き見た遥の照れたような顔を見て、思わずそのまま唇を重ねた。
「アキ?」
「悪い。変なスイッチ入った」