女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「まだ、思い出すか?」
前に聞いた、当時住んでいた家の隣のお兄ちゃんにされたイタズラ。
同意なく触れられた行為が、遥の心に傷として残っている。
行為自体は、未遂だと言える程度。
けれど遥にとっては、母親からかけられた言葉と重なり、酷く何重にも傷つけていたようだ。
遥は、晶の質問に答えない。
「嫌だったら言ってくれ。同じように触れるから」
気持ちを言った時に、敢えて同じ触れ方をした。
上書きしてしまいたかった。
トラウマを抱えている遥にしていい行為じゃないとわかっているのに、止められなかった。
今回も触れたい気持ちに抗えず、遥をそっと抱き寄せた。
耳元に、唇を寄せる。
「好きだよ」と囁き、そのまま、首すじに唇を触れさせた。