女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「眠れないような状況に、なるのかと思っていました」
ゴホゴホと咳き込む晶は、不平を漏らす。
「突拍子もない話をして、俺を困らせるのが趣味なのか」
「アキを、困らせたいわけじゃ。だって「一緒に寝たら、手を出しそうだ」って。そんな宣言されて、同じベッドで寝たのに」
眉根を寄せる遥に、自身の頭をクシャクシャとかき回してため息を吐いた。
「そうなると、困るのはお前だろ」
「困りません!」
何度、こんな不毛なやり取りをするんだ。
そう言っておいて、確実に困るんだよ。
お前は。
「なんだよ。急に」
「夜は緊張して眠れなくて、それで昼に眠くなっちゃって」
昨晩、遥はすぐ寝たような気がしていたが、こいつもなにも考えていないわけじゃないのか。
変なところに感心して、素直に謝罪を口にする。
「それは悪かったな。別に昼に寝過ぎたのを、咎めたわけじゃない」
遥はキュッと口を引き結んでから、両手を握りしめて言った。