女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
本当は擦り寄って来たベッドの中で、遥に触れてしまいたかった。
けれど、その後どうなるかくらい簡単に想像がつく。
今も、あれだけの言動で動揺している遥が、ぼんやりとした顔でパンをかじっている。
遥はつい最近まで『男なんてこの世からいなくなっちゃえ!』と、まで思っていた時期もあったくらいの、男性恐怖症だった。
晶は晶で、女嫌いだった。
女と同じ空間で呼吸をするのでさえ、嫌悪感を感じるほどの。
そんな2人だから、異性と付き合う考えは毛頭なく、その手の話題は避けて生きて来た。
そのしわ寄せが今、総動員したみたいに押し寄せていた。
「悪い。意地悪が過ぎた。ただ、ハルも少しは考えて行動しろ」
謝りの言葉を口にしつつも、つい不満が漏れる。
遥も、反論するように口を開いた。
「私だって知っています。恋人が夜、一緒に寝るという意味くらい」
晶は思わぬ反論に片眉をつり上げ、遥の続きを待った。
「アキは……アキも、女性の裸に興味があるんですか」
ブハッと盛大に吹き出し、咳き込むと「大丈夫ですか?」と、冷めた声をかけられた。