女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「ハハッ。やっぱり小動物」

 晶はフローリングからベッドの方に座り直すと、遥に優しく問いかけた。
 
「明日、一緒に来るか?」

「え」

「隣に座ってればいいだろ」

 冗談で言っているように見えない晶に、遥の方が慌てて断った。

「それは、ちょっと」

「まあ、そうだよな」

 晶は、なにかを考えてから、「ちょっと待ってろ」と、遥の頭をかき回してから部屋を出て行った。
 程なくして、戻ってきた晶の手にはスマホ。

「うわ。そうか」

 と、なにやら呟いて、頭をかいている。

「あの、どうしたんですか」

「いや、うん。まあ、ものは試しか」

 スマホを置き、晶は自身のシャツのボタンに手をかけた。

「えっ。アキ、なにを」

 喉仏の下の綺麗な鎖骨が露わになり、思わず縫い付けられた視線を外す。
 すると晶に手を引かれ、その露わになった鎖骨から胸辺りに触れた。

「キスマーク。付けられるか」

 突然の申し出に、頭には疑問符が浮かぶ。

「口紅、持ってませんけど」

「やっぱり、そういう認識だよな。俺も付け方までは、知らなかったが」
< 62 / 160 >

この作品をシェア

pagetop