女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 そう言って、晶は遥のパジャマの襟ぐりに指をかけた。
 それを、少しだけ下げた部分に顔を近づけ、鎖骨と胸の間の危ういところに口付けた。

 チリチリとした熱を感じて、声が漏れ、晶の腕にしがみつく。

「図らずとも聞けたな」

 意地悪な言葉の後に、ペロリとその部分を舐められ「ひゃっ」と悲鳴を上げた。

「残念。さっきの声は、たまたまか」

 わざとらしい言葉運びに不平を漏らす。

「こういう時のアキは意地悪で嫌いです」

「普段、優しくした覚えもないけどな」

 頭にポンポンと手を置いて、「次はハルの番」と、遥を促した。

「あの、状況がさっぱり」

「ああ。そうだったな。見てみるか?」

 再びスマホを手にした晶はなにやら操作をして、遥の前に差し出した。

 そこには自分の顔が映る。

「カメラをこっちに向けたから。これで鏡代わりにして見えるだろ。さっきの、自分で見てみろ」

 言われて服を少しだけ引っ張り、晶にキスされた箇所を確認してみた。

 薄ら赤くなっている肌を見て、小首を傾げる。
< 63 / 160 >

この作品をシェア

pagetop