女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「難しい、です」

 遥としては恥ずかしくて、早く終わらせてしまいたいのに、焦れば焦るほど上手くできない。
 無駄のない筋肉のつく肌は、たるみがなく、うまく吸いつけなかった。

 その上、浅くなっていく晶の息遣いが酷くいけない行為をしているようで、体が熱くなる。

「噛んでも付くらしいから、噛み付いてくれ」

 苦しそうな声を聞いて、小さく噛み付いた。
「ん」っと思わず漏らしたような晶の声を聞き、全身が総毛立った気がした。

「ごめんなさい。痛かったですよね」

 晶の顔を見上げると、耳を真っ赤にした晶と目が合った。

「今のナシ」

 顔に片手を当てる晶の首元の下辺りに、赤い痕が見える。

 頭を引き寄せられ、晶の胸元に不時着する。

「もう、寝よう。なんか一生分の変な汗をかいた気がするわ。シャワー浴びてくる」

「あ、あの」

「痛かったわけじゃないから。今日のところは寝よう。シャワー浴びたら戻ってくる」

 晶が部屋を出て行く背中を見送って、遥はベッドに横になった。
 緊張から解放された体は、簡単に眠りについた。
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