女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
進んだ先に

「本当にいいんだな?」

 頑なに同席しようとしない遥に念押しして、マンションを出た。
 遥は、陽菜と約束したらしい。

 事務所に着くと、律儀に直樹まで来ていた。

「悪かったな。日曜に」

「いや、直樹こそ、今日はいいのか」

「まあ、陽菜は遥ちゃんと出掛けたしな。頼んだ手前、二人きりで会わせるのも忍びたくて。と言っても、相談する際は二人になるだろうが」

 あの人と呼んでいるのは、沙織(さおり)という名の女性で、お嬢様らしい。
 晶の母親の勧めで、遥と出会うまで許婚の真似事をしていた。

 口では嫌だと言いつつも、母親の支配下から逃れられていなかった晶は振り回され、沙織に対しても傷つけてしまった。

 沙織の方から関係の解消を求められ、彼女と関わる機会は二度とないと思っていたのだが。

 事務所に現れた沙織は顔を合わせた早々、頭を下げた。

「お休みの日にお呼び立てして、申し訳ありませんでした」

「なにか、急を要する相談事だと伺ったので」

「はい。よろしいですか」

「では、別室へ」

 直樹の案内で別室に入り、向かい合って腰を下ろした。
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