女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「お前なあ。違うだろ」

「間違っていません」

 真っ直ぐに見つめる遥に、ため息を吐く。

「そうじゃなくて。俺たちは違うだろって話。女の裸に興味があるとか、そういうんじゃないってくらい、お前もわかってんだろ」

「だって」

 目を潤ませる遥に、晶は自分の髪をグシャグシャとかき混ぜた。

「アキ、みすぼらしい姿になってます」

「うるさい。こっち来い」

 おずおずと自分の元にやってきた遥を、晶は引き寄せて腿の上に乗せた。

「キス、するからな」

 返事をする前に、晶は遥の唇にそっと触れた。
 遥はキュッと胸が締め付けられるように苦しくなって、晶の体に縋り付く。

 そんな遥の頬を慈しむように撫でてから、晶は遥の頭にキスを落とした。

「ハルは今のままでいい。ただ、そうだな。週末なら一緒に寝てやってもいい。だから平日は、今まで通りにしてくれ」

「でも」

 言い淀む遥に、晶が甘い声を出す。

「馬鹿。なにか不安か。常に一緒にいないと、俺がいなくなるとでも思ってんのか」

 違う。そうじゃない。
 けれど、上手く伝えられなくて、遥はもどかしく思った。
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