女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 バッと隠してみても、直樹のニマニマした視線と目が合うだけだった。

 シャツで隠れる場所に、と思っていたが。
 あいつ、わざとじゃないよな。

 懸命に付けようと苦心していた昨晩の遥を思い出しそうになり、慌てて頭を振った。

「直樹、お前が想像してるのとは、違うからな」

「照れるなよ」

「そんなんじゃない」

 こめかみに手を当て、思いを吐露する。

「不安がるあいつにつけ込んで、手を出すのは違うだろ」

 直樹は、なにも言わない。

「安心させるために付け方を教えてやって、付けさせたんだ」

「まあ、遥ちゃんだしな。不憫な奴」

 生温かい眼差しを向けられ、反吐が出そうだった。
 遥との関係を勘違いされなかったのはよかったとしても、結局は変な目で見られるのか。
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