女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「帰るだろ。帰り道、付き合えよ」

 直樹と連れ立って外に出ると、コンビニの前で「ちょっと待ってろ」と、直樹は一人コンビニに入って行った。

 日差しが出てきたとは言っても、寒さが身にしみる。
 コートを寄せ、顔をうずめた。

 少しすると、コンビニから出てきた直樹が、買ったものをこちらに寄越した。

「ほら」

 直樹に放られた箱を受け取りながら、文句を言う。

「俺、煙草はやらないって」

 手の中を見て、ギョッとした。
 白いパッケージは、わかりづらい工夫がしてあるものの、煙草ではなかった。

「必要だろ。今後」

「必要ない」そう断言して突き返したいのに、喉の奥に言葉が詰まる。

「からかってるわけじゃない。遥ちゃん、大切にしろよ」

「うるさい。言われなくても、わかってる。どうせ真面目な時は、面白がってる時なんだろ」

「ハハ。バレたか」

 楽しそうな顔をさせ、直樹は帰って行った。
< 71 / 160 >

この作品をシェア

pagetop