女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「帰るだろ。帰り道、付き合えよ」
直樹と連れ立って外に出ると、コンビニの前で「ちょっと待ってろ」と、直樹は一人コンビニに入って行った。
日差しが出てきたとは言っても、寒さが身にしみる。
コートを寄せ、顔をうずめた。
少しすると、コンビニから出てきた直樹が、買ったものをこちらに寄越した。
「ほら」
直樹に放られた箱を受け取りながら、文句を言う。
「俺、煙草はやらないって」
手の中を見て、ギョッとした。
白いパッケージは、わかりづらい工夫がしてあるものの、煙草ではなかった。
「必要だろ。今後」
「必要ない」そう断言して突き返したいのに、喉の奥に言葉が詰まる。
「からかってるわけじゃない。遥ちゃん、大切にしろよ」
「うるさい。言われなくても、わかってる。どうせ真面目な時は、面白がってる時なんだろ」
「ハハ。バレたか」
楽しそうな顔をさせ、直樹は帰って行った。