女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「変、ですか?」
そこに立っていたのは、紛れもなく23歳の女性だった。
控えめに化粧を施し、ふんわりしたコートの下にフレアスカートが覗く。
「陽菜さんが、せっかくだからって連れて行ってくださった場所で、化粧までしていただいて」
なにも返答のない晶に、遥は声をかける。
「アキ?」
「あ、ああ。そうか。馬子にも衣装ってやつだろ」
「陽菜さんは似合うって、言ってくださったのに」
「いいから着替えてこい。もうすぐ飯ができる」
晶は極力、遥を視界に収めないようにして、フライパンに視線を移した。
「はい」
明らかに気落ちした声を聞き、胸が痛くなる。
食事も黙々と食べ進め、すぐに「風呂、入ってくる」と席を立った。