女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
風呂を出ると、眉を八の字にした遥が体を丸め、ソファに座っていた。
「悪い。遥はわかってるんだと思って。甘えてたんだな」
思いもよらない謝りの台詞に、遥は顔を上げた。
「お会いした婚約者の方の件で、またなにかあったのかと」
「いや、そっちは、そっちで話さなきゃいけないが」
言葉を濁らせる晶は、なにかに迷うような素振りを見せてから、真っ直ぐに遥を見つめた。
「ハルは、女だ。それは理解してるつもりだ。いや、つもりなだけだったな。ハルも化粧したり、お洒落をすればいい」
「ダメ、でしたか」
遥自身も甘えていた。
女は嫌いだ。という晶が、自分は大丈夫だと言い、特別だと言う。
だから、自分は大丈夫なのだと。
なんなら、可愛い格好をして見せて、晶を驚かせようと思っていた。
子ども扱いする晶に、大人の女性として見てもらえるかもしれないと。
笑ってしまう。
ただ単に女らしい格好もなにもかもをしないから、大丈夫なだけだったのに。