不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。下



『それがあんたの本性ってわけ?』


身体を起こせば、自分のいる正確な位置がわかった。

…逃げるのは、確実に無理。



謁見の間にある長い階段。その頂に自分と吉田はいる。






まるで、玉座にいる自分に酔いしれるように笑う吉田は、グイッと私に繋がれている鎖を引っ張った。



「こい。親方様に会わせてやる」



吉田が謁見の間の際奥へと足を進める。



鎖が食い込んで痛い…


けど、それよりも心が痛い…


いやだ。

会いたくない…!


見たくない…!!




棺の目の前に連れて来られた私は、ガクッと膝をついた。

この中に…?本当に…?


棺を開けて確認する勇気なんて私にはない。

ただ、目の前の現実に、


つーっと、涙が込み上げてくる。



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