不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。下
「覚醒してなくても、お前には可能性がある。1度に触れてないあの人数を治したんだから」
吉田が言っているのは、きっと狼牙の倉庫で私が力を使った時のことだ。
『…やっぱあれ、あんたがけしかけたんだ』
「当たり前だろ?あんな男ばっかのところにいて妊娠でもされたら困るからな」
『んな…っ!』
なにを言ってるんだ、こいつは……。
「でもカケルとアヤトに任したのが失敗だったよ。まさか場所を教えちゃうなんてね。あの高瀬ってやつも使えなさすぎたなぁ…あの場にいる1人くらいは殺してお前に絶望を味あわせてやりたかったのに」
頭を棺に押さえ込まれてるせいで、片目でしか吉田を捉えられないが、笑う口元に背中がゾクリとした。