不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。下
「世界には超能力者が1カ国に5人は居るとされている。選ばれし者にしか"力"は宿らない。それが僕たちってこと。これは政府だって知らない事なんだよ?だから僕たちは非政府公認研究所で暮らすしかないんだ」
「アヤトくん、喋りすぎ」
アヤトくんがこんなにも喋るだなんて、ましてや人間相手ということが珍しい。
注意したにも関わらず、アヤトくんの口は止まらない。
「ただね、この"力"も万能じゃないんだ。触れた者に対してしか力は使えない。使い過ぎると身体に負荷がかかって、この女みたいに眠らなきゃいけない。
それに、僕たちは必要な対価を払ってる。僕、こう見えても18歳でね、見えないだろ?この女は人を治癒できる代わりに、自分の傷の治りが遅い。カケルくんみたいに命を______「アヤトくん!」
今日のアヤトくんはどうしてしまったのやら…
普段だったら俺が注意されてる側なのに……
能力者の副作用はその人の弱点でもある。
ペラペラ喋って良いもんじゃない。