不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。下
#.11 背信
勢い良く走り出した俺が向かったのは、
「吉田さん!!」
「おぉ、カケルどうした?」
沢山の書類を手に持って廊下を歩いていた吉田さんに、俺は詰め寄った。
「どうしたもこうしたも!!なんだよあれ!!」
「あれってなんだ?」
「リンの事だよ!!」
そう言えば、ピクリと吉田さんの顔色が少し変わった気がした。
「あれはしょうがないことだ……」
しょうがない…?
そんな事ですまされるのか?
確かにリンはここを無駄で飛び出した。
けど、それってあんな罪人扱いされる程のことなのか?
元は俺たちだって外の世界で生活してたのに?
望んじゃいけないことだったのか?
俺にはもう何が正解なのかがわからねぇっ…!