Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―







「え、ちょっと待って。もう一回言ってくれる?」



大学の講義の後、偶然聞こえてきた単語に、ユウは近くで話していた女子達に思わず声を掛けた。



「え、な、何ですか……?」


「いやあの、今言ってた名前……」


「今……? ああ、橘君のことですか?」


「そうそう! 下の名前って……?」


「き、京一です。橘京一君」



レイの口から数回聞いたその名前にガッツポーズして、ユウは更に質問を重ねる。



「ありがとう! ね、その人ってさ……」





その後、午前の講義が終わりユウは学食へ向かった。

さっきの女子達から仕入れた情報によると、橘京一は同じ3年らしい。

同名の可能性も考えられるが、そう多くない名前だからレイの兄の可能性の方が高いだろう。

同じ大学の学生だったとは思わなかった。学部が違うために会わなかったようだ。



「隣、良いですか?」



ユウは前に一度だけ見た京一の姿を見つけ、いかにも偶然を装って彼の隣に腰掛ける。

学食内の空席はまだあり、わざわざ間隔を空けずに隣に座ることは明らかに不自然な行為だ。

が、ユウは京一の返答が返ってきていないにも関わらず既に座ってしまった。

京一はユウの顔を見る。
そしてその一瞬で分かったように顔を歪ませた。



「おまっ……! てめえ、優子の……」



京一は、一瞬叫びそうになったものの周りに人が居ることを思い出して声を低くする。



「あ、分かった? 凄いね」



京一が自分の姿を見たのはあの一瞬だったのに、とユウは心底驚く。



「何か用かよ」


「いや、別に。俺は橘君と仲良くなりたいだけ。お話しようよ」



ユウの意図の分からない笑みに京一は苛つきを隠そうとしなかった。



「……お前、何が目的だ?」


「やだなあ、人聞きが悪い。だから橘君と仲良くなりたいだけって言ってるでしょ?」


「……お前は――」



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