Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
結局昨日、14日は何も無かった。丁度金曜で、学校では友チョコやら義理チョコで賑わっていたけれど、私とは無縁の出来事だ。
いや、完全に無縁とは言い難い。美穂をはじめ数人の女子が友チョコをくれたのだ。美穂は予測がついたが、他の生徒は予想外だった。お返しに私は朝コンビニで買った安っぽい飴を渡した。
昨日の今日ってこともあり女子生徒達はほとんど隈を作っていた。ご苦労様です、としか言えない。
街を歩いているとふとコーヒー専門店が目に入った。何種類ものコーヒー豆を売っている本格的なお店だ。
その時、不意にユウがコーヒー好きなのを思い出した。彼の家は気が付くとコーヒーの香りが漂っている。
ちょっと何か買っていこうかな。どうせこれから向かうんだし。
そんな軽い気持ちで私はその店に足を踏み入れた。
入ってみたは良いものの、コーヒーに詳しくない私は何も分からなかった。それを見かねた店員さんが声を掛けてくれる。
プレゼント用だと説明するとその店員さんが2種類の豆を薦めてくれた。
「あ、粉と豆、どちらが良いですか?」
豆の方は豆を轢くコーヒーミルが必要だと言われ、ユウの家にはそれがあったことを思い出し、豆にしてもらった。
コーヒーに詳しくない私は2種類の豆を出されてもどちらが良いかなんて分からなくて、結局一番人気の豆を買うことにした。
「ラッピングはどちらをご希望されますか?」
そう言って彼女はいくつかのラッピングの例を見せてくれる。
でも私はラッピングは頼まなかった。普段から必要のないものは断る主義。ゴミだらけのこの星を、更にゴミで溢れさせる手伝いをするなんてごめんだ。
だから私はそのコーヒー豆を裸の状態で持ち歩くことになった。