Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「お、今開けるー」
その声と共にドアが開き、彼の姿が見える。
だぼっとしたスウェットでさえ彼が着ると様になるんだから凄い。
「ん。これ」
さっき来る途中で買ったコーヒー豆を差し出す。
「え、なになに。どういうこと?」
「ユウコーヒー好きだから。いつも泊めてくれるお礼も兼ねて」
何だか急に恥ずかしくなってきて、最後に言い訳じみた言葉を付け加えた。
「ふーん……あっ! もしかして、バレンタイン!?」
「えっ……ち、違うよ」
いや、そのつもりだった癖に。どうも素直になれない。
「そっかそっかー。レイが、バレンタインでねえ。嬉しいよ、ありがと」
「だから、違うってば。自意識過剰」
私はユウを無視して中に入っていく。
「あーもうほんと、可愛すぎ。照れ隠しとか」
小さい声で彼が言った言葉は勿論私には聞こえていない。
「でもレイらしいよなー」
「何が」
「1日遅れてるとこ」
私はもう否定する気も失せて、彼の言葉をスルーした。そもそもそうなんだし。
「ね、これ早速飲んでみようか」
そう言って彼は今渡したばかりの袋を見せる。
「でも私コーヒー苦くて苦手……」
「じゃあ甘くすれば良いじゃん」
もう彼は鼻歌を歌いながら袋に鋏(はさみ)を入れている。