Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「出たよ」
リビングに戻ると夕刊を読んでいるユウの姿が目に入った。
「おー……じゃ、そこのドア寝室だから。先入ってて」
「はーい」
ユウが気だるそうに風呂場に向かうのを横目に、私は彼の寝室へと足を踏み入れた。
まあ、分かってたけどさ。
「でっか……」
やはり彼はシンプルな物を好むのかも知れない。
普段から本当に1人で寝ているのか疑いたくなるほど立派なキングサイズのベッドが中央に置かれている。
それから、その横には円形のベッドサイドテーブルにベッドサイドランプが置いてある。
どうしようもない統一感はベッドとベッドサイドテーブルの黒色の木目調によるものだ。
その他には何もない。
物の少ない部屋から大きな窓の外を見るとその部屋さえも夜景の一部になって、妙に虚しいような懐かしいような、それでいて感動するような不思議な感覚に陥った。
そのガラスに映る自分の影が少し不気味で私はカーテンを素早く閉めた。
ベッドの端に腰掛けて、壁に掛けてある絵を眺める。約1,5m×2mほどある、大きな絵だ。
すべての光を、わずかな光さえも許さない漆黒の中の、一筋のきらびやかな恒星達。美しく渦を作っている。
左下の隅の小さく書かれた題が目に入る。
“the Galaxy”
the Galaxy:銀河系――別名、Milky Way Galaxy:天の川銀河。
赤、青、黄色、白……言葉にはしきれない程の沢山の色によって描かれた星達は眩しいほどの光を放っている。
巨大であるはずの銀河系を全て手に入れたかのような満足感。
――ガチャ
その絵に圧倒されていると、シャワーを浴びたユウが姿を見せた。