Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
しかしまあこんな男一人相手に随分と大掛かりなことをしてくれたもんだ。
だからといって彼らが俺を過大評価している訳では無いことくらい分かっている。普通なら一人で「迎え」に来るだろう。多くて三人だ。
それなのに十人以上で来た訳は……。
「おい、しっかりしろよ! 失敗出来ねえんだからよ!!」
リーダーのような男の焦りが混じった怒声が響く。
何だ? こいつらは誰かに命令されてやってるのか?
誰に? “達弘”に?
「達弘さん! 碧弥美さんから電話です! もうすぐ来ます!」
いや、こいつが達弘か。じゃあ裏に居るのは……“ミヤビさん”?
「チッ早えよ……。 おい、お前はこいつ見張っとけ!!」
「はいっ!!」
バタバタと足音が去って暫くの間、埃が舞い上がったのか息が出来なかった。
ようやく埃が静まった頃、そっと手首を圧迫している縄から右手を引き抜いた。
自由になった利き手で音を立てずに目隠しを上げると、見張り役の男の背中が見える。
俺の見張りには男一人で平気だと踏んだのだろうか、そいつしか見当たらない。
あれならいけるか……? いや、相当でかいな。確かに一人でも平気そうな奴だ。
様子見るしかねえか――。