Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―







――バンッ!



「よお、久し振り」



ユウに指定されたカフェに入った瞬間――それこそ一秒も経たない内に――ドアの両脇に居た二人の男に捕まった。

随分と殺気立ってるな。


それに表向きはカフェになっているけど内装はされていない。コンクリート剥き出しだ。



「のこのことこんな所来ちゃうなんて大分勘鈍ったんじゃん?」



そして達弘が顔を見せた。


――気持ち悪い。なんだその笑顔。
何を考えているのか分からない、仮面を着けたような笑顔。

口を開くが、走ってきたせいで息が上がっている。



「ハァ、ハァ……。何も……気付かない訳無いでしょ。――ユウはどこ?」


「……無駄に勘の良いところ、変わんねえな」


「あんなLINEで騙せると思ったの? ユウに何したの!?」



達弘に一歩近付こうとすると後ろで既に縛られた腕を押さえ付ける力が強くなる。



「お前が大人しくしてればあいつには何もしねえよ」



そう言いながら達弘は私の顎を掴んで顔を近付けて来る。
思わず表情筋が固まったのを見て、達弘はニヤリと笑った。



「怖がんなよ。本番はまだまだこれからだぜ?」


「何……?」



その瞬間、視界が真っ暗になって平衡感覚を失った。

それが目に布を当てられ、誰かに担ぎ上げられたからだと知ったのは車のドアが閉まる音がした時だった。



< 135 / 161 >

この作品をシェア

pagetop